子宮がん
子宮がんは子宮頸がんと子宮体がんに分かれています。
それぞれ子宮の異なる場所に発症し、その原因や特徴も違いますので、しっかりと理解し治療していきましょう。
子宮頸がんは入り口、子宮体がんは内部にできる
そもそもの違いというものを説明していきます。
子宮頸がんというのは、子宮の入り口である子宮頚部の粘膜にできる悪性腫瘍がんです。
対して子宮体がんは、子宮内膜がんとも呼ばれているように、主に子宮の内側にある子宮内膜に発症するがんです。
どちらも子宮のがんではありますが、診断や治療、予後も異なります。
このように発症する場所が違うということはしっかりと認識しておきましょう。
子宮頸がん
それではまず、子宮頸がんについてお話していきます。
一般的にがんにかかる方が増えてくるのは40代以降です。
しかし、子宮頸がんは20~40代の若い世代で著しく増加しています。
20代、30代だから大丈夫とは言えず、若い世代こそ注意が必要な病気です。
原因は主にウイルス感染
子宮頸がんの原因は主に性交渉によるヒトパピローマウイルス(HPV)感染です。
HPVはごくありふれたウイルスで、性交渉の経験がある人であれば、50~80%の方は、一度は感染したことがあるといわれています。
ほとんどは自然に治りますが、一部の方でHPVが長く観戦し続けることがあります。
その場合、前がん病変を経て、数年程度かかって子宮頸がんになることがあるのです。
初期症状がないことが特徴
子宮頸がんの特徴は、初期症状がほとんどないことです。
実際にご自身でもわかる、不正出血やおりものの異常、性交時の出血などの症状が現れるころには、がんがかなり進んでしまっているという場合が少なくありません。
早期発見のためにも定期的に検診を受けましょう
子宮頸がんは先ほど説明しましたように、初期症状がみられないことが多いものです。
実際に症状が出てからの治療では、進行したがんを取り除くために子宮を摘出する手術が必要になったり、リンパ節や卵巣など周囲の臓器も摘出しなければならない可能性が出てきます。 命が助かっても将来の妊娠・出産をあきらめなければいけないなど、女性にとっては心身ともに大きな負担となります。
そうならないためにも、定期的に子宮がん検診を受けてください。
子宮頸がんはがんの前段階(異形成/CIN)で発見し治療すれば、あなたの命と子宮を守ることができます。症状がなくても、定期的に検診を受けることでリスクを減らしましょう。
子宮体がん
ここからは子宮内膜に発症する、子宮体がんについてお話していきます。
できる場所だけではない、子宮頸がんとの違い
子宮頸がんは20~30代にも発生しますが、子宮体がんは40代以降、特に閉経後の方に多くみられます。
また、子宮体がんの8割はエストロゲンという女性ホルモンの刺激が長く続くことと関係していると言われ、肥満がある、出産経験がない、閉経年齢が遅いなどの場合に、発症のリスクが高くなることがわかっています。
乳がんの治療薬タモキシフェン
タモキシフェンは、閉経前の患者さんによく使われるお薬ですが、一部の患者さんでは、タモキシフェンが子宮内膜へ作用して、子宮体がんを引き起こすことが知られています。
乳がんの治療でタモキシフェンを服用している方に、定期的にな体がん検査が必要であるかどうかは議論のあるところですが、不正出血がある場合は婦人科診療を受けることを強くおすすめします。
経腟超音波検査で子宮内膜が厚くなっていないか確認し、必要に応じて子宮内膜細胞や内膜組織の検査を行います。
特徴的な症状は不正出血
子宮体がんでもっともよくみられる症状は、不正出血です。
特に、閉経後に出血がある場合は早めに婦人科を受診し、子宮体がんの検査を受けるようにしましょう。
早期発見のために
40代以降、特に閉経後の不正出血をほおっておかないことが、早期発見のカギとなります。
一般に子宮体がんは、進行がゆっくりであり、早期発見すれば完治が十分期待できます。
不正出血があったら婦人科を受診し相談しましょう。